建築施工図の躯体図で、杭伏図を作図する為に必要な知識について、今までいくつか説明をしてきました。
もちろん「これで全部」という訳ではなくて、色々と経験した私でも、まだやったことのないパターンがあります。
この仕事をはじめた頃は、ある程度経験を積めば知識が足りないという状態はとりあえずなくなると思ってました。
でも、実際はそう簡単な話ではなかった。
今でも「これはやったことないです」ということが結構あって、勉強するべきことがたくさんあります。
それに、技術的に進歩して新しい工法が開発されることもあるので、きっと一生勉強しながら仕事をしていくのだと思います。
やはり建築は奥が深いですね。
■すぐに調べて覚える
建築施工図を作図する仕事をしていると、今まで経験したことがないやり方が毎回出てきます。
しかし、だからと言って毎回「分かりません」では、プロとしてちょっと寂しいですよね。
だから私は「分かりません」とは言わず、正直に「それは今までやったことがないです」と言います。
もちろんそれで終わりではなく、やったことがない事についてすぐに調べるようにしています。
今はインターネットですぐに調べることが出来るので、昔のような手間はかからず非常に楽です。
それでも分からない場合は、その工事をしている会社に電話をして聞いてみることもします。
そこまでやれば、大抵のことは理解出来るはず。
…というのは、経験を積んだ人だからこそ言えることなのは分かっていますが、それでも。
これから建築施工図を仕事にしようと思っている方であれば、分からない事が出てきたらすぐに調べる。
そんな癖をつけることを強くお勧めします。
もちろん経験が少ない時は、何が分からないかって言っても「全部分かりません」となるはずです。
だから、質問をしたくても何を聞けば良いのかが分からず、困ってしまうことが多いかとは思います。
少なくとも私はそうでした。
電話して質問をした時も、相手に「この人何を言ってるの?」みたいな対応をされることも多かった。
質問しようと思ったことをメモして、一通り質問して電話を切った後で、さっぱり分からなかったことも。
そんな時は恥をしのんでもう一度電話しました。
少し経験を積んでくると、上手な質問の仕方を何となく覚えてくるものですが、最初はとにかく酷かったですよ。
個人的な話ですが、私はあまり電話が得意じゃないので、こうした電話をすることが非常に苦痛でした。
それでも仕事ですから、そんな個人的な理由で電話をしない訳には絶対にいきません。
そうして知識を増やしていっても、いまだにまだ充分じゃないという現実がある訳ですが…
それでも自分の知識を積み上げていくことは、決して無駄な事なんかじゃなく、プロとして絶対に必要なことなんです。
例えば前回まで説明してきた杭で、PHC杭が出てきたとします。
そうすると、とりあえずはネットで「PHC杭」というキーワードで検索し、ある程度の知識を得ることが出来ます。
繰り返しますが、この検索というのは本当に便利ですね。
で、それからさらに分からない事があった場合には、PHC杭のメーカーに直接電話をして聞いてみるんです。
そうして積み上げた知識というのは、今後建築施工図を作図するプロとして、非常に貴重な財産になっていきますから。
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥
そんな諺がありますが、これは本当だと私も思います。
こうして偉そうなことを書いている私ですが、全てが書いてきたようにスムーズに行った訳じゃないです。
後から自分の経験を書くと、良いところだけをクローズアップしがちなので、ダメなところも書いてみると…
質問の電話をするのが面倒とか恥ずかしくて、何となく知っているようなふりをして建築施工図を描いたこともかなりあります。
最初はそうした方が楽ですから、何となくやっていると必ず知らないことを調べないまま作図することになります。
でも、そうすると結局は後で「知らないのに描きました」ということになって、最初に質問をするよりももっと恥ずかしい思いをするんです。
ま、恥をかいて覚えたことはそう簡単には忘れない訳で、それも良い経験ではあるんですけどね。
でもやはり恥をかかないに超したことはないので、事前に分からないことをクリアしておくことを強くお勧めします。