前回までで、建築施工図の杭伏図を作図する為に必要な知識について、簡単ではありますが説明をしてきました。
まだ色々とありうそうな気がしますが、基本的な部分は大体書いたんじゃないかと思います。
という訳で、今回は予備知識として杭の種類にはどんなものがあるのかを紹介します。
とは言っても、私は杭のスペシャリストではありませんので、杭の種類と簡単な概要しか書けません。
でもそれさえ分かれば、あとはそのキーワードで検索した方が深い情報を得ることが出来るはず…
なので、簡単な概要だけでも充分なんです。多分…
■鋼管杭
文字通り、鋼管で出来た杭です。
イメージとしては鉄パイプをかなり大きくしたような感じで想像すると、何となく分かるかと思います。
…では少し不親切なので写真を出します。
寝た状態ですが、これが鋼管杭で、当然打ち込む時には縦にしてから施工されます。
鋼管杭のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・耐力が大きい為、大きな支持力を得られる
・大きいサイズが可能
・溶接でつなげる為、長いサイズの杭も可能
続いてデメリットも。
・打撃で打ち込む工法は騒音問題があり難しい
・地中障害があった場合にそれ以上打ち込めない場合がある
土木経の経験がない私の場合、最近はあまりこの鋼管杭を使った建物の図面を描いてません。
埋め立て地で支持層がかなり深い場所にあった時は、確か鋼管杭を使っていた気がします。
が、ハンマーによる打撃で打ち込んでいた為、騒音が非常に大きかった記憶しかありません。
今やったら訴訟問題になりそうで怖いですね。
■PHC杭(既製コンクリート杭)
工場で造ったコンクリート性の杭です。
「電柱」を想像してもらえると、ほぼイメージ出来るのではないかと思います。
コスト的なメリットがある一方で、あらかじめ長さを決めて工場で造る為、支持層が予想外に低かった場合の対処が難しいというデメリットがあります。
どちらもあまり建築施工図には影響がない為、メリットデメリットについての知識は非常に少ないです。
図面を作図する際には、どのメーカーのものを使うのかを確認し、カタログをしっかりと見る必要があります。
■場所打ちコンクリート杭
現場で支持層まで穴を掘って、そこに鉄筋を入れてコンクリートを打設する杭です。
既製品ではない為写真はありません。
穴の掘り方には様々な工法がありますが、建築施工図にはあまり影響がない為ここでは省略させてもらいます。
工場で造って持ってくる杭ではない為、想定支持層が違った場合でも、比較的対応がしやすいというメリットがあります。
その一方で、施工としては既製品を現場に持ってくる方が楽なので、施工性というデメリットはあります。
杭の種類を大まかに区分するとこんな感じになります。
掘り下げていくと色々とありそうな気もしますが、とりあえず建築施工図を作図する為に必要な知識としてならこのくらいで充分でしょう。