地下部分のみコンクリートで構造体を造り、地上階は鉄骨造とする。
いわゆる「S造」と呼ばれる建物は、ほぼ間違いなくこのようなパターンになっています。
鉄骨は当たり前ですが「鉄」ですから、常時水分をふくんでいる土中に設置することは出来ません。
だから、土に接する部分はコンクリートで作成し、その上に鉄骨を配置するというやり方をする訳です。
これは最近割と多い構造だと思いますが、この場合、コンクリートの柱と鉄骨の柱をがどこかでつなげる必要があります。
このあたりの話は、躯体図を書く側として、きちんと理解しておく必要があります。
理解していなくても、CADを使えば躯体図を書くことが出来ます。こうして見るとCADって凄いですよね。
しかし、理解出来ていない人が書いた躯体図を使って建物をつくる、というのはかなり怖いことです。
プロとして、出来ればそういうことはやりたくないので、ここで鉄骨柱の足元をきっちりと理解しておきましょう。
■コンクリートと鉄骨をつなげる
コンクリート柱の上に鉄骨の柱を乗せて、構造体として建物の荷重を伝達するようにする。
コンクリートと鉄骨が切り替わる部分では、このような条件を満たして部材を連結させる必要があります。
そしないと、構造体としては成り立ちませんから。
そしてここでは、そんな方法でお互いをつなぎ合わせれば良いか、という方法を紹介しようと思っています。
まさか鉄骨の柱をコンクリートの上にのせて、それで終わりという訳にはいきませんよね。
それでOKであれば、施工をする側からすればこんなに簡単なことはないんですけど……
もちろん良いはずがありません。
それでは積み木とあまり変わらないので、地震や台風などで大きな力が加わった時に、鉄骨柱が倒れるかズレてしまうか。
いずれにしても、その建物に安心して住むことが出来ない状態になり、建物の役割を果たさなくなってしまいます。
■建物の寿命まで
そういう「倒壊する危険があるような建物」では、人は安心してそこで暮らすことは出来ません。
建築を知っているとか躯体図について詳しいとか、そういう話の前に、そんな建物に住みたいとは思いませんよね。
少なくとも私だったらですが、そんな建物には住みたくないし、建てたいとも思いません。
基本的に建物というのは50年とか100年とかの長いスパン、建物として存在することを前提にして建てられます。
逆に言えばその長いスパンが過ぎれば、建物は建て替えを考えなければならない、ということです。
それが建物の寿命ということになります。
もちろんそうした寿命があったとしても、その時が来るまでは「もしかして倒れるかも……」とか思わせない。
これが建物を建てる上での大きな前提ですよね。
こうした「寿命」というのは、実際に自分のお金で建物を建てようとしたときに、まじまじと考えてしまうことでもあります。
これから建てる家は、どれくらい建ち続けられるのか、って。
実際個人が建てる家は木造が多く、鉄骨の柱をコンクリートに乗せて……という話はあまりありません。
でも、布基礎の上に木の柱を乗せてそれをどのように結合するのか、という内容に変わるだけで、基本的には木造でも同じ話なんです。