地下ピットにおける通気管の役割について、前回は私の個人的な疑問を含めて書いてみました。
ちなみに、あまり(というか全然)躯体図の書き方に関係ないですけど…
「ピットにおける…」とかいう表現を使うと、なんとなく難しい文章を駆使しているみたいに見えますね。
書いていることはあまり難しくないくせに、なんか色々なことを考えていそうな雰囲気があります。
全然そんなことないんですけど。
ただ、このサイトでは「出来るだけ分かりやすい表現で」躯体図の書き方を説明していこうとしています。
実現出来ているかは別の話として、目指すところはそこにある訳です。
だからあまり小難しい表現は避けたいのですが、文章力の限界などもあるので、ある程度は笑って許してやってください。


■湧水ピットとは
今まで連通管や通気管などの話をしてきましたが、今回取り上げるのは「湧水(ゆうすい)ピット」についてです。
今までさんざんピットについて説明してきた割には唐突な登場、とか思われるかも知れませんが、別に忘れていた訳じゃないですよ。
ただ、ちょっと書くチャンスがなかっただけで…という訳で、湧水ピットの概要についてサラッと書いてみます。
地下ピットというのは基本的に、まあ名前の通りなんですが、ほぼ間違いなく地下に埋まっている場所ですよね。
地下というのは地上に比べて水分(湿気)が多い場所でもあります。
地面を掘っていくとそのうちに水が出て、それが井戸になったりする訳ですが、それは地面の下には水が蓄えられているからなんですね。
地下の水が蓄えられた地層を「帯水層」と呼びますが、「地下水位」などの表現でその地層は管理されます。
なぜこんな話をしたのかというと、地下に蓄えられている水と地下ピット階とは、非常に深い関係にあるからです。
帯水層よりも深く土を掘って地下ピットを設けた場合、地下の外壁は常に地下水を含んだ部分に接することになります。
ここが非常に重要なポイント。
もちろん地下外壁に防水処理を施したり、止水板と呼ばれるゴムを入れたりするのですが、それでもピット内に地下水は少しずつ入ってきます。
理想的な話をすると、完璧に防水をして地下に水を入れないのがベストなんですけど、設計段階ではもう少し現実的な考え方をします。
つまり、防水をしても入ってくる地下水を完璧に止めようとするのではなく、水が入ってくる前提でピットを考える、ということです。
ちょっと前振りが長くなってしまいましたが、「湧水ピット」というのは、そうした目的でつくられたピットなんです。

■配管ピットとの兼用
ピットに入ってきた地下水を釜場に流し、釜場に溜った水はポンプを使って外部に流していく。
そんな目的を持った湧水ピットですが、今までさんざん登場してきた配管ピットとはどういう関係になるのでしょうか。
まあ結論から書いてしまうと、湧水ピットと配管ピットは兼用できる、ということになります。
湧水ピットは基本的に地下水が入ってくる場所ではありますが、基本的には水槽のように水がいっぱいになる訳ではありません。
これは建物の高さと地下水位によって決まるので、ここで「通常はこれくらい」という無責任なことは言えませんが…
それでも、常識的には常に床が少し濡れている程度だと、少なくとも私はそんなイメージでいます。
一方配管ピットですが、こちらは「メンテナンスが出来る場所か」が最も重要はポイントになってきます。
多少床が地下水で濡れていたとしても、メンテナンスに支障がなければ特に問題はないんです。
もちろん、常にくるぶしくらいまで水が溜まっているようでは困りますが、そうでない場合がほとんどのはず。
そんいった訳があるので、地下ピットでは配管ピットと湧水ピットが兼用されることが多いです。