前回までの何回かで、連通管と通気管を設置する位置とサイズについて説明をしてきました。
それを躯体図の書き方として、どのように表現していくか。
これが結局は一番重要なことなんですけど、躯体図の書き方についてはまだ説明をしきれていません。
もう少し後で具体的に説明をしたいと思ってますので、もうしばらく考え方についてお付き合いください。
水を流す役割をもつ連通管と、空気を通す役割をもつ通気管を、それぞれ2ヶ所ずつ設置し、メンテルートであれば人通口も設置する。
これによって、地中梁で分断された各ピット同士がつながり、水と空気と人が行き来出来るようになるんですね。
まあ自由自在に行き来とまでは言いませんが…それでも、全くつながっていないのとでは大きな違いです。
で、今回取り上げたいと思っているのは引き続き「通気管」です。
地下ピットに設置される通気管というのは、実際にどんな役割を持っているのか、私の個人的な意見も含めて書いてみます。
■配管ピットに通気管は必要か
以前も説明したと思いますが、地下ピットは大きく分けて「埋戻し」と「水槽」と「配管ピット」で構成されています。
ざっくりと言ってしまえば、土が入ってるのか、水を貯めるのか、配管の為の空間として利用するのか、という感じですね。
通気管を設置するのは「水」と「空気」の部分、つまり「水槽」と「配管ピット」になります。
まずは配管ピットに通気管を設置する場合ですが、これは当然配管ピット内の空気を通す役割を持っています。
個人的には「人通口があれば空気は通るから、通気管は必要ないんじゃないか」とか思ってしまいます。
そんな素朴な疑問を色々な人にしてみましたが、どうも納得のいく答えには出会えてません。
なので、これを読んでいてどなたか納得のいく答えを持っている方は、ぜひ教えて欲しいです。
今のところ躯体図を書く際には、本当に必要なのか解らないまま、とりあえず記入をしています。
もちろん通気管は存在して困るようなものではないので、それで全く問題はありませんが…
建築施工図のプロとしては、自分でなぜ必要か解らないものを作図する、というのが恥ずかしい。
ただそれだけです。
■水槽と通気管の関係
次に水槽に通気管を設置する場合。
これは当然水槽内の空気を通す役割を持っている訳ですが、この通気管の存在理由は私にも分かります。
ピットをまたいで水槽を設置する場合、水を貯めていくと中に入っている空気が水のかわりに出ていきます。
でも通気管がない場合、水を貯めたくても空気が逃げる場所がないので、水を貯めることは出来ません。
実際に通気管を入れていない水槽に水を溜めたことはありませんが、理屈としてはそういうことになるはずです。
図で示すとこんな感じ。
あくまでも通気管の役割を表す簡単な絵ですから、厳密にはどこまで水がたまるとか、そうした細かい話は勘弁してください。
お風呂の浴槽に洗面器を逆さまにして沈めても、洗面器内には水が入らないのと同じ理由ですね。
空気の逃げ場がないので、その場に空気が留まり続けるというパターンです。
穴をあけた洗面器を使えば、その穴から空気がポコポコと抜けていき、最終的には洗面器内に全て水がまわるはず。
水槽内に設置する通気管は、そんな役目を持っているんです。
こんな躯体図を書いて説明するよりも、この例えの方が解りやすかったかも知れませんね。
だから複数のピットをまたいで水槽とする場合には、それぞれのピットを通気管でつなぐことが必要なんです。