基礎伏図を作図する際、割りと重要な要素となるピットの床仕様。
その中で、主に採用されることが多い「耐圧盤」と「土間コンクリート」について今まで説明をしてきました。
耐圧盤を採用するのか、それとも土間コンクリートを採用するのかは、建物の構造によって大きく変わります。
もちろんそれを考えるのは構造設計者の仕事であって、建築施工図の作図者はそこまでやりません。
ただ、それぞれの特徴を詳しく知っておき、建築施工図を作図する際におかしなところを無くすのは我々の仕事です。
作図する建物がどんな構造であっても、耐圧盤と土間コンクリートは覚えておいた方が良いです。
そして今回はその続きとして、耐圧盤でも土間コンクリートでもないパターンを紹介します。


■埋戻し
建物の地下がピットになっている理由については、以前に軽く説明をした通りです。
まずは配管のスペースとして利用する場合、そして水槽として利用する場合ですね。
でも配管のルートなどによっては、建物の全部をピットにする必要がない可能性もあります。
配管の為にピットを設けたにも関わらず、そこに配管は一本もなかった…とかになったら悲しいです。
もし私が施主で、高いお金を支払って建物を建ててもらう立場にいたら、配管のない配管ピットを見て腹が立つでしょうね。
無駄に土を掘って、お金を払ってその土を場外に搬出し、無駄にコンクリートを使ってピットを造ったのか、と思います。
全員がそう思うかどうかは分かりませんが、同じ性能を満たす建物であれば、出来るだけ低いコストで造れる方が良いはず。
性能を満たして低コストを目指すというのはビジネスの基本であり、以前ニュースなどで話題になったような「手抜き」とは違います。
そういう意味で考えれば、建物の全部がピットである必要はない、という意見も何となく分かる気がしませんか?
と、少し前置きが長くなりましたが、今回お話しするのは地下ピットにしない部分を土で埋めるという「埋戻し(うめもどし)」です。
「埋め戻し」でも良いんですけど、どうも建築関係の用語は送り仮名を省略する事が多い気がします。
断面としてはこんな感じになります。
埋戻し

ピットではなく「土のまま」ということは、土を掘らないの?…というと、微妙にそうじゃないです。
地中梁を施工する為には、梁の位置よりも余計に掘っておく必要がありますから、梁を施工した後に土で埋めることに。
一度掘ってから戻すから「埋戻し」なのだと…って、言葉で説明するのは難しいから、図解に逃げようかな。
一般的な施工手順

一言で説明をしてしまえば、「要するにピットになる代わりに土で埋める」ということですね。
建築施工図の基礎伏図的な話をすると、コンクリートで考える部分が減るという意味で、耐圧盤などよりも全然楽です。
ただ単に「埋戻し」と描いておけば良いだけですから、その部分だけは図面が結構なスピードで進むはず。
なので、埋戻しというのがどういう意味かだけ掴んでおき、図面としてはサッと次の場所に行ってしまいましょう。