建築施工図の中で、基礎伏図を作図する為に知っておかなければならないピット階の知識。
地下に居室があってもなくても、結局はピット階の知識は絶対に必要になるんです。
ただし今回お話ししようと思っているのは、その「面倒な」ピットがない建物のパターン。
面倒な要素がない分だけ基礎伏図として楽なのかどうか、まずは読んで判断してもらえればと思います。
■地下階・ピット階がない場合
先ほども書きましたが、ピットのことをあまり考えなくて良い分だけ、基礎伏図としては一番楽なパターンでしょう。
断面はこんな感じ。
地下がない為、1階床コンクリートの下に基礎があって、水槽がないので検討項目は少なめ。
エレベータなどがあれば部分的に深く掘る必要はありますが、それでも全体がピット階に比べれば楽なもんです。
私もなんどかそういう建物の基礎伏図を作図しましたが、図面を完成させるのにかかる時間は格段に短かった。
そしてすぐに上の階の図面に取りかかったことを記憶しています。
ただし。
図面として盛り込む内容が少ないということは、工事としてやるべき事も少ないということです。
具体的に言うと、土を掘る工事が圧倒的に少なくなる為、すぐに次工程の図面が必要になる、ということです。
ピットがある場合、土を掘っている間に全力で図面を進めていけば、何とか上の階の図面も間に合ってきます。
でもピットがない場合、地上階の図面がすぐに必要になってくる。
現場としては工程が進む方が良いんですけど、建築施工図だけを考えるとこれが非常につらい状態なんですよね。
それでも建築施工図だけを考えれば、まだマシなんです。
鉄骨造の場合には、基礎が終わる頃にはもう鉄骨が必要になってきますので、工場で鉄骨を造らせるタイミングが非常に早い。
下手したら土を掘り始める前に、鉄骨だけは寸法を確認して工場に発注しておかなければならないことになる訳です。
このあたりの話は躯体図ではなく製作図の項目で詳しく書いていきますが、鉄骨がすぐに必要というのはしんどいです。
工事が早めに進んでいくということは、鉄骨だけじゃなく他の図面も全体に早く必要になります。
ピットがない建物の場合、図面その他全般のスピードが一段と要求されることが多いということを覚えておきましょう。
■結局は…
地下がどうなっているかによって、ある程度基礎伏図の難易度も変わってくる。
そんな話をしてきましたが、結局はどんなパターンであっても「大変なんです」という結論に。
要するに基礎伏図はどんな場合でも楽ではない、ということです。
地上階の躯体図に比べ、地下の躯体図である基礎伏図は、盛り込むべき要素が多岐にわたります。
だから大変なのは当然のことかも知れませんね。
個人的には、基礎伏図をしっかりとまとめることが出来る人であれば、地上階の図面は楽勝に出来るはず。
そう思ってます。
次回からは、そんな多岐にわたる基礎伏図の要素を、地道に一つずつ説明していきましょう。