今回は建物の根本とも言える設計図書と、それを作り出す設計者の役割について考えてみましょう。
建築施工図を作図するにあたっては、設計者及び設計図書の存在は非常に重要になってきます。
このあたりの役割区分をしっかりと理解して、建築施工図を出来るだけスムーズに作図していきたいものです。


■設計者の役割
前回も簡単に説明しましたが、設計者の役割の一つは以下の点を満たした設計図書を発行することです。
・施主の要望に添ったプランであること
・法律に適合していること
・各所の仕様が明確であること
・施工者の質問にきちんと回答してあること
意外に思う方がいるかも知れませんが、施工者(主に見積り)の質問に対する回答も立派な設計図書の一部なんです。
設計図に描かれていない部分に対する質問がメインですから、重要度としては結構高め。
で、設計図書を発行した後は、工事が実際に設計図書の通りに施工されているかを監理する役目もあります。
また、設計図をベースにして作図された施工図をチェックして、設計の思想を現場に伝えることも重要な仕事です。
施工図を作図する側にとって、設計者と大きく関わってくるのがこのあたりですね。
作図した施工図は設計に承認を得て初めて正式な書類となる訳です。

■図面の承認
大まかな施工図の承認までの流れはこんな感じになります。
・施工図作図

・設計提出

・設計チェック

・返却

・チェック内容修正

・再提出

・設計チェック

・承認
実際にはチェックが何度も入ってようやく承認になることが多いですが、基本的にはこんな流れになります。
この流れを考えると、現場で施工図を使い始めるかなり前から施工図を作図しておかなければならないな…
ということが分かるのですが、それについてはまた後日お話しするとして、今回は施工図は設計者の承認が必要という点を覚えておきましょう。