さて、前回は建築施工図を作図するツールとして「CADて何なのか?」について書いてみました。
お金を扱う仕事をする人が電卓を使うように、建築施工図の仕事をする人にはCADが必要なんです。
もう「これが出来ないと話にならない」という次元で。
なので、これから建築施工図を仕事にしたいと考えている方は、CADのスキルもしっかりと磨いていきましょう。
今回はそんな話の続きとして、具体的にどんな種類のCADがあるかについて書いてみようかと。
…思いましたが、手描きの頃についても、昔を思い出しながら少しだけ書いてみます。


■手で図面を描く?
CADで建築施工図を作図するようになる以前には、図面は自らの手で作図するのが当たり前でした。
ドラフターと呼ばれる大きな机を前にして、線を引いたり消したり文字を書いたり。
まあそれが一番自然なのかも知れませんね。
もちろんCADがない時代にはそれが当たり前でしたが、以下のようなCADの優れた点はありません。
・同じ図形をコピーして使える
・大本がデータなので劣化しない
これらはCADではごく当たり前の機能なんですけど、手描きの場合はそんな訳にはいきません。
なので、同じものが連続するような図面を手で作図する場合には、上手に省略して描いたりしてました。
タイルとかのパターンを全部描くのは大変ですよね。
また手描きの場合、原本はあくまでも紙ということになります。
原本が破れると元に戻すのは大変なので、第二原図と呼ばれるコピーをとったりもしてました。
第二原図専用の消しゴムというか、消す為のインクのようなものがあったことを良く覚えてます。
第二原図をとった時に黒いつぶつぶが出ることが多く、それを消しゴムで地道に消したり。
アルバイトをしている時には、そうした作業を良くやってました。
今では考えられない作業ですが…
もちろん手描きには手描きの良いところがあるのですが、効率という点で考えると、業務としてCADがメインになるのは仕方ないでしょう。
そういう流れになってから…かれこれ20年くらいでしょうか。
もう「懐かしい」と感じてしまうくらい昔の話です。
私はちょうどCADが出てきたくらいの時期に、建築施工図の仕事を始めることになりました。
なので、自分の手で1枚の建築施工図をまとめたことは、残念ながら一度もないんですよね。
これは本当に残念なことです。
もし仕事できちんと手描きをやっていたら、今よりもずっと手描きが上手かったはずですから。
まあそうなったらその分だけ、CADのスキルは低くなったかも知れませんが…それはさておき。
今でも仕事で時々手描きをする機会はありますが、私はお世辞にも手描きが上手いとは言えません。
でも。
そんな私でも、ちょっとした部分的な図面を作図するのは、やはり手描きの方が早いし楽だと思ってます。
両方使えるのがベストですから、是非機会があれば手描きのスキルも磨いておきましょう。