実際に建築現場で施工をしたことがない人が「建築施工図」を作図して、それを見ながら施工をしていく。
大いなる矛盾(大げさな表現かもですが…)がそこにはあります。
では、それをなくす為にはどうすれば良いのか。
問題点を指摘するだけなら誰でも出来ますから、ここではその問題を解決する方法についても考えてみます。


■使う側の意見を
まず考えられる解決方法としては、自分で実際に施工をやってみるというやり方があります。
が、今現在CADを使って建築施工図を描いている人間が「少しだけ型枠を加工してみたい」と言っても…
仮に私が大工だったら、素人にやらせるような仕事なんてない、と思うはずです。
実際に大工として仕事に就いたとしても、最初は恐らく材料運びとかの下積み作業しか出来ないでしょう。
型枠の加工を任される為には、かなりの下積みが必要なんじゃないかと想像します。
少なくとも建築施工図の場合であれば、はじめてすぐの人が作図した図面を商品として納品することはありません。
それこそ信用を無くすことになりかねませんから。
だから大工さんの場合でも、きっと同じようにはじめたばかりの人が重要な役割を負うことはないはず。
それを考えると、実際に型枠を自分で加工するまでにはかなりの時間がかかることになります。
建築施工図のジャンルは多岐にわたっている、というのも問題の一つになってきます。
例え大工さんの気持ちに沿った施工図が作図出来るようになっても、それ以外の図面では役に立ちません。
鉄筋の事も知らないといけないですし、仕上げ工事についても知っておかなければなりません。
そうした事を考えると、それぞれの工事について全て自分で作業を経験する、というのは現実的じゃない。
実際にそれを目指すとしたら、一通りの工事を経験したころにはきっとかなり歳をとっていることでしょう。
そうなったらきっとCADの操作は全然未熟な状態になっているはず。
だって、毎日建築現場で実際に作業していたら、CADを触る時間なんてほとんどないはずですから。
CADがおぼつかない人が建築施工図業務をやるのは非常に厳しいので、今度はそういう意味で役に立たなくなってしまいます。
という訳で、自分で実際に施工を経験してはじめて建築施工図を作図する、というのはやはり難しいですね。
長々とダメなやり方のどこがダメなのかを書いてしまった…これはちょっと時間の無駄かも。
ではどうすればベターなのか。
実際に施工している人の意見を出来るだけ聞く。
あっと驚くようなやり方でもないし、全然当たり前すぎる話なのであまり偉そうなことは言えませんが、これしかないと私は思ってます。
自分で実際に施工できないのであれば、実際に施工している人の意見を聞くしかないですよね。
実際に建築現場で働いている人の声を聞ける環境にいるか、というのがまた大きな問題ではありますが。
出来るだけそういう状況に自分をおくように意識をするのは大事なことだと思います。
そして後は、同じ失敗を二回繰り返さないこと。
そうして自分の作図する建築施工図の完成度を少しずつ上げていき、漏れの少ない図面にしていく。
建築施工図のプロであれば、そうしたレベルを目指したいものですね。