今回はこのサイトのメインテーマである「施工図」が持つ役割について書いてみたいと思います。
もちろんこれは私の個人的な考えなので、これから書く内容が完全に正解という訳ではありません。
が、とりあえず施工図でご飯を食べている人間の意見ですので、そこそこ正解に近いはず…多分。


■施工図の基本
少し繰り返し担ってしまう部分もありますが、施工図というのは以下の点を満たした図面だと私は考えています。
1.設計図書の意向をきちんと反映している
施工図のベースはあくまでも設計図で、それ以外の情報は基本的にありません。
なので、その設計図書の意向を汲んだ図面であるべきなのは当然の話で、まずはこれが基本ですね。
これが出来ていない図面は施工図じゃなく、単なるお絵かき的な図面という存在になります。
もちろん手間暇かけてそんな図面を作る人なんていませんが。
2.設計図書では記載しきれない内容を盛り込む
基本的な話になりますが、設計図書の中には該当する建物の情報が全て記載されている「はず」です。
とは言え、全ての情報が完全に誰の目にも明らかというのは、現実問題として難しいようです。
なので、細かい寸法やどんな納まりになっているのかなどが記載されていない場合も時々ある、ということになります。
いくら設計図がベースとは言え、施工図もそのままの状態で作図する訳にはいきません。
そのままでは施工出来ませんからね。
そうした部分もきちんと設計者と打合せをして、細かい寸法とか詳細とかを施工図では記載する必要がある訳です。
逆に考えると、そうした内容を盛り込む必要がないなら施工図は必要なくなる訳で、これが施工図の主な役割だと私は思ってます。
3.設計図書の不整合を解決している
2と同じような内容ですが、設計図書の中でも色々辻褄の合わない部分が存在しています。
意匠設計図で吹き抜けになっている場所なのに、構造図を見るとばっちり梁が入ってるとか。
設計事務所も様々な部署で設計図を作図しているので、そうした不整合があるのは仕方のないことだと思います。
でも施工図はそのままじゃダメで、きちんと不整合を設計者と打合せして解決しておく必要があります。
そうしないと、いざ仕上工事の段階になってから施工者が困ります。
吹き抜けであるべき場所に梁が存在していると、梁を壊すのか吹き抜けを諦めるのかの二択しかないですよね。
そうならない為にも、施工図の段階でそうした不整合を全てクリアしておく必要がある訳です。
これも施工図の大切な役割ですね。
4.実際に施工出来る内容である
「施工図」だから当然の話ですが、実際に施工出来る内容の図面である必要があります。
具体的には…人が入れないようなスペースがある図面だったり、実際には図面通り綺麗に出来ないようなことを描いたり。
机の上で図面を描いているとあまり意識しないかも知れませんが、図面上に線を引いたからと言ってその通りに建物が造れるとは限りません。
人がやることですから、コンクリートの壁と壁の間を10cmにして、その隙間を綺麗に見せたりとかは出来ません。
まあ実際はお金と手間をかければ大抵の事が出来ますが、そこまでする価値があるかはまた別の話ですよね。
このあたりの話は多分また後でするだろうな…
まあとりあえず基本的な話としてはこのあたりにしておきましょう。