前回は私がまだ経験の浅い頃に実際体験した話を少し書いてみました。
今でこそ「こうした経験は自分にとって貴重な経験となりました」みたいな心境にもなりますが、まあ当時はそれどころじゃないです。
もう冷や汗ダラダラの世界ですね。
私の書いた躯体図を見て職人さんは材料とかを用意しますが、それがあっさりと「間違ってました」ってなる訳で…
もちろん私も軽い感じでそんな表現をする訳ではないのですが、まあいくら真剣に「ここがちょっと間違っていて…」と言っても事実は変わりません。
お金と手間をかけて真剣に仕事をして、それがほぼやり直しになるという事実に変わりはないんです。
■怒られるパターン
躯体図が間違っていて施工がやり直しになる場合、実際に作業をしている職人さんは当然怒ります。
真剣に仕事をしている人ほど、その度合は強かった気がします。
まあ職人さんはプロですから、そんなプロが一生懸命やったものを壊してやり直しと言えば、怒るのは当たり前ですよね。
実際に建築施工図を作図する人は、職人さんに直接指示を出すわけではなく、それはゼネコンの社員である「監督さん」の仕事になります。
だから、やり直しの指示を出す監督さんも、指示を出される職人さんも、当然のことですが全然楽しくない状態です。
その原因は私が書いた躯体図にあるので、まあ何というか、非常に居心地が悪い空気を味わうことになります。
職人さんに怒鳴られることもたくさんありましたし、当然監督さんからも怒られます。
ダブルで怒られてキツイんですけど、それでも相手がどういうことに怒っているかが解るので、勉強にはなりました。
これは本当に負け惜しみでもなんでもなく、怒られれば怒られる程、色々なことを覚えていったと思います。
もうこんな思いをするのはイヤだ。
そんな気持ちもあったので、一度やってしまった失敗もう二度と繰り返さない、というスタンスで頑張りました。
でも、建築というのは本当に奥が深い世界です。
一度やった失敗を覚えて「よしよし」ってなっても、そことは違う部分でどんどん失敗を繰り返すんですよね。
これは私の頭が悪いとか物覚えが良くないとか、そういう問題ではなくて、建築施工図が網羅すべき範囲が広いということだと思います。
そう思わないとやっていけないくらい、大小様々な失敗を経験し、様々なパターンで怒られてきました。
今は「やっと一回りしたかな?」という状態で、失敗の数と規模はようやく落ち着いてきた感じですね。
まあそうなったらそうなったで、たまにやらかす失敗のショックが大きくなる訳ですけど。
■躯体図が正しくても…
そうして経験を積んだ今は、例え躯体図が正しいことを書いていても、職人さんが間違える場合もある、ということも知っています。
あとは、少し分かりにくい部分で間違えた時に、強引に躯体図のせいにする人が結構いることも。
建築現場で躯体図を書いていると、割とそういう場面に遭遇することが多いですね。
だから、躯体図を書く私としては、出来るだけ自分が悪者にならないような手段を持っておく必要があるんです。
だって、自分できちんと躯体図を書いても、読む側の力量が足りないせいで間違って、それで文句を言われるのはキツイですから。
まあそのあたりの話は当分出てこないでしょうけど、設計図通りの躯体図で終わってしまうと、やはり使う側から苦情が来ます。
そうならない為の知識をここで色々書いていければ…って、前回とまるで同じような内容で終わってしまいましたね。