今回紹介する建築用語は「増打ち」です。
読み方はそのまま「ましうち」で、人によっては「打増し(うちまし)」と呼んだり、「フカシ」と呼んだり。
建築用語に良くある、色々な呼び方があるというパターンです。
建築施工図を作図する上で、きっと良く耳にする言葉になるはずですので、ここで全部ひとまとめにして覚えてしまいましょう。
主に躯体図でよく使う言葉になりますが、仕上図でも出てくる事があるので、そのあたりについても書いておくことにします。


■増打ち・打増し・フカシ
以前構造体について説明をしましたので、読んでない方はまずは読んでからの方が話が早いはず。
と言うのも、今回お話しする増打ちというのは「構造体」とセットにして覚える言葉だからです。
そんな訳で、ここでは「構造体」について知っているという前提で話を進めたいと思います。
少し前置きが長くなってしまいましたが、打増しというのは構造体よりも余分にコンクリートを打設することを意味します。
もちろん増打ちもフカシも同じ。
まあ「コンクリート打設」を「増やす」訳ですから、読んだイメージの通りではあると思いますが、いかがでしょうか。
打増しをする目的は様々ですが、主にどんな目的があるかを考えてみると以下のような感じです。
・柱と梁の納まりによって
・梁と梁の納まりによって
・梁の構造体を下げた為
・欠込をいれる為
・施工出来ないスペースを埋める為
サッと思いつくのはこれくらいですね。
コンクリートを増打ちする要素というのは、建築施工図を作図する上で検討しなければならない項目と似ています。
…と、それは当たり前の話かも知れません。
構造体だけを表す構造図には、増打ちという考え方自体があまり多くないですから。
だから建築施工図の躯体図で、その増打ちについて色々と検討していく必要がある、ということになります。
建築施工図と設計図の違い。
今回の場合で言うと、設計図=構造図であり、建築施工図=躯体図ということになる訳です。
もちろん建築施工図のベースはあくまでも設計図でですが、設計図そのままという訳じゃなくて…
構造図に描かれている内容をそのまま写しただけでは、躯体図で表現する情報としては不十分。
そう言われる理由の一つが、今回説明したコンクリートの増打ちなどの検討をすることにあります。
実際に考えていくと、意外にも奥が深いコンクリートの増打ち。
それぞれの検討項目については、躯体図の中で詳しく説明をしていきますので、ここでは増打ちの概要だけを覚えておきましょう。

■仕上工事の場合
また「フカシ」という言葉は、コンクリートだけではなく仕上工事の壁でも使われます。
意味は似たような感じで、本来必要な壁の内側に、さらに壁を造る場合などに使われます。
本来必要な壁というのは、部屋と部屋を区分する壁であることが多いです。
その壁に例えばテレビなどを埋め込みたい場合、壁を二重にしてその中にテレビを入れることになります。
そうした場合に「壁をフカす」などの表現を使います。
今これを書いている時点で、仕上図については全く説明をしていない状態ですが、いずれ詳しく説明をしたいと思ってます。
そこまでたどり着くかな…