基礎のレベルを決める際には、居室の床がどの高さにあるのかを考慮して、そこから飛び出さないように。
それが構造図に記載されているレベルだったとしても、それをそのまま鵜呑みにして躯体図を書くのはダメです。
前回は基礎のレベルを決める際の注意点として、簡単な断面図を交えてそんな説明をしました。
ちなみに…
そうした検討が必要だと私が知ったのは、建築現場で躯体図を書いていて、実際に現場から電話があった時でした。
「下がった床よりも基礎が高いんだけど…」って。
色々と失敗した中でもこれは結構失敗の度合いが高くて、当時はもうそのまま家に帰りたくなったことを良く覚えてます。
さすがに帰ることは出来なくて、もう冷や汗びっしょり状態でした。


■構造図通りだけじゃ足りない
基礎というのは通常杭の上に施工されるものなので、そう言われた時点で「じゃあ基礎を下げましょう」という話は出来ません。
だから、そうなった時点で提案出来る解決方法は、非常に限られています。
1.下げる床のレベルを基礎にあわせて少し上げる
2.基礎が出てしまう部分を壁で隠す
読んでみれば良く分かると思いますが、どちらも最終的な仕上の位置が変わってしまう提案です。
最終的な仕上を考慮して、それに影響が出ないような位置に構造体の位置を決め、意匠・構造共に満足させる。
躯体図を書くのは、こうした目的があります。
でも、その時は単純に構造図に記載されているレベルをそのまま躯体図に反映させて、床レベルよりも基礎が高い状況になりました。
これは構造図の検討が足りないのではなくて、躯体図としてまとめる際の検討が足りなかった、ということ。
構造図を見てそのまま躯体図を書いて、それで完成です、という程甘くはないんですよね。
私は当時そんな甘いことを考えていて、CADの操作スピードが速くて、構造図が読めればもう躯体図を書けると思ってました。
でも、それで済むような図面であれば、わざわざお金と手間をかけて躯体図を書く必要なんてないですよね。
私はその失敗でそうした事を学びました。

■持っている知識を生かせるか
現場で失敗して、躯体図の重要性をさらに痛感した私ですが、最初から何も知らなかった訳ではありません。
知識として「基礎の高さは床よりも出ないように注意」という部分を教えてもらっていたんですね。
でも、それがどれほど重要な事なのか、時間をかけてもしっかりと考えなければいけない事なのか。
そこまでは分かっていませんでした。
そこまでを知ってようやく「きちんと理解出来た」という話なんですけど、残念ながらそのレベルではありませんでした。
だから知識と躯体図の内容が直結していなかった。
もちろん失敗した時にそんな言い訳をすることなんて出来ないので、結局は知らなかったのと同じなんです。
せっかく覚えた知識でも、それを仕事で上手に生かさないと、結局は知識がないのと全く一緒。
私はそれを教わった時に「理解」をしましたが、失敗をしてようやくその事実に「納得」をしました。
「理解」と「納得」は別の話なので、ぜひ私の失敗を読んで、この知識をしっかりと自分のモノにしてもらえれば…
私の失敗も、少しは報われるかも知れません。