前回までの説明で、ようやく地下ピットに記入すべき色々な要素について一通り触れる事ができました。
釜場・人通口・連通管・通気管・設備スリーブ・ピット床の勾配・タラップ・上階の床点検口。
そしてもちろんメインの構造体である地中梁と基礎とピットの床。
それらの関係を適切に保った状態で、分かりやすく躯体図に書きこんでいくのが施工図作図者の役目です。
検討項目は多岐に渡りますが、それぞれが頭を抱えるほど難しい内容という訳ではありません。
スリーブ間隔の決まりなどを見ると分かるように、基本的なルールは割と単純なんですよね。
なので、それぞれの検討項目を一つずつ潰していくような感じで進めていけば、しっかりとした躯体図が出来上がるはずです。


■実際の躯体図でどう表現するか
それぞれの要素を納まるべきところに納める。
これが建築施工図を作図する目的ですから、作図者は様々な要素について知っておく必要があるんです。
知らないで上手くいく場合も結構ありますが、後から考えると怖くなる場合も同じくらいあったりします。
と、「適切に保った状態」とか「しっかりとした躯体図」とか、ちょっと漠然とした表現が続きましたが…
今回は具体的に基礎伏図の表現をどうするか、今まで説明してきた要素を盛り込んでみたいと思います。
釜場と床の勾配については以前説明してきましたので、今のところこんな感じの図面までは作図しています。
この状態からさらに入力するのは、人通口と連通管と通気管。
設備スリーブによる位置調整が必要ではありますが、最初に作図する際にはそうした情報は恐らくありません。
なので、まずは「穴があきますよ」という意味もあるので、建築だけで位置を想定して入力します。
「後でどうせ変わるから今は躯体図に書き込まない」のではなく、「後で変更になるけれど躯体図に書き込んでおく」が正解。
人通口や連通管などの穴は、サイズの違いはありますが躯体図に記入するべき情報は一緒です。
平面的な位置と設置するレベル。
これらを記入しないと、実際に工事をする段階でどこに取り付ければ良いのかが分かりません。
だから躯体図での表現方法はこのような感じになります。
人通口などを書き込んだ躯体図

上図では、開口の種類が何になるかをまずは説明し、その平面的な位置とレベルを数値で説明しています。
ただ、かなり文字などが密集してきて、少し見づらい図面になってきたのと同時に、文字を重ならないように書いていくのがきつくなってきました。
建築であけたい開口は人通口・連通管・通気菅くらいですから、全部に記入をしないで「A」「B」「C」表記もアリです。
躯体図の中に文字がたくさんありすぎると、見る方もちょっとイヤになってしまい、よく見てくれなくなる場合があります。
なので、すっきりとした表現で分かりやすくする為には、こうした「A」などの表現は有効なんですね。
もちろん、図面のどこかに「Aは人通口ですよ」と書いておく必要がありますが、その為に「凡例」があるので問題ありません。
判例についてはもう少し後で説明しますので、ここでは割愛するとして…人通口などの表現を記号化してみた躯体図はこんな感じです。
人通口を記号にしてみた躯体図

かなりスッキリです。
個人的にはこうした表現が好きなのですが、時々凡例を見ない人に「Aってなんだよ」と言われることもあったりします。
どちらが良いかは何とも言えないところですね。