サンプルで作図している基礎伏図が、ようやく少しは図面らしくなってきました。
ここで少し個人的な話をさせてもらうと…
何もない状態からCADを使って少しずつ、様々な情報を記入していき図面を完成させていく。
もちろん人それぞれだとは思いますが、少なくとも私はこうした作業が嫌いではありません。
プロとして仕事をする訳ですから、楽しいだけじゃ済まない面も当然ありますけどね。
でも、基本的にはそうした地道な作図を苦にしない人の方が、建築施工図という仕事に向いているのだと思います。
好きこそ物の上手なれ、は少し言い過ぎかな。


■地中梁の増打ちは?
前回の終わりに、「耐圧盤記入の前に増打ちについて説明をします」というような事を書きました。
が、増打ち・打増し・フカシについては別のカテゴリーに入れました。
躯体図としては、増打ちについて知っているという前提で進めた方がスムーズなので、読んでない方はリンク先へどうぞ。
さて、それでは改めて。
地中梁記号を記入する説明の際に、地中梁巾・高さの前後に記入する数値が増打ち寸法だという話をしました。
で、実際のサンプル図面でも増し打ち寸法を記入しているので、その内容を具体的に見ていきましょう。
前回載せた図面を少し拡大して…赤く丸をつけている部分が増打ち寸法を指しています。
基礎伏図の作図 地中梁記号

まずは高さ方向についてですが、どの地中梁も上側に200増打ちをしていますね。
これはなぜかというと、構造体天端レベルとコンクリート天端レベルの関係を見れば良く分かります。
コンクリートの天端レベルはFL±0で構造体天端はFL-200だから、構造体の方が200低い位置にある訳です。
だから構造体天端からコンクリート天端までの200は増打ちになる、ということです。
どうせ全部の地中梁天端を増打ちするのなら、最初から地中梁の天端レベルを上げても良いんじゃない?
そう思われる方もいると思います。
もちろん増打ちというのは構造として必要なものではありませんから、そうした意見があって当然です。
でも、床のコンクリート天端レベルが全部FL±0だとは限りません。
特殊な床仕上材を使用していたり、床の下に何かを仕込んだりする場合があったりと。
例えばそのフロアに浴室があったとしたら、水を使う訳ですから下の階に水を漏らさないような処理が必要です。
それなのに床コンクリートの天端レベルがFL±0だったりしたら、何もすることが出来ない…
その結果、下階に水がどんどん漏れていく状態になる訳で、そんな事をしたらその建物は機能上大きな欠点を抱えることになります。
そんな訳で、これは設計の考え方にもよりますが、地中梁の天端レベルは少し余裕をもって下げておく場合も多いです。
今回はそんな場合を例に出してみたので、地中梁の天端は増打ちになっている、ということです。
簡単な断面を描くとこんな感じ。
基礎伏図の作図 地中梁天端増打ち

少し長くなりましたが、この考え方は躯体図を作図する上で非常に重要な考え方です。
地中梁記号の数値と断面図との関係がどうなっているか、そしてその考え方など、ここでしっかりと押さえておきましょう。
横方向の増打ちについては次回にします。