建物の荷重を支持層に伝える。
建築施工図の「基礎伏図」には、そんな役割をもつ杭基礎を記入していくことになります。
基礎伏図として必要な情報は、杭伏図の時と同じように細かい項目に分けて説明をしていきます。
が、その前に。
割とシンプルだった杭伏図とは違い、基礎伏図にはまだいくつかの重要な要素が存在するんです。
今回はそんな要素について書いてみたいと思います。


■地中梁
杭基礎の役割としては、その建物の荷重をしっかりと杭(=支持層)に伝えるというものがあります。
この考え方はどの基礎でも同じで、杭に並んで建物の土台を形成する非常に重要な要素のひとつと言えます。
ただし、建物の荷重を杭に伝えるという役割をしっかりと果たす為には、杭基礎だけではちょっと足りないんです。
という訳で、今回は杭基礎の他にある構造体の種類について書いていく訳ですが…
それが今回説明する地中梁です。「ちちゅうばり」と読みます。基礎梁とも呼ばれます。
杭基礎というのは、建物の土に面する部分に施工されるのが普通です。
建物の荷重を支えるようなものですから、建物の足元にあるのはごく自然なことだと思います。
そして平面的な位置は建物の柱付近、もっと言えば柱の中心あたりに配置されます。
建物の鉛直方向の荷重は柱によって伝えられる訳ですから、その荷重を伝える基礎が柱の下にあるのは当然ですよね。
このように、柱から伝えられる建物の荷重は、そのまま基礎に向かって鉛直方向に伝えられる訳です。
と、ここまでは何となく感覚的に理解出来るでしょうか。
次に、少し分かりにくいかも知れませんが、椅子を例にとって地中梁の役割を書いてみたいと思います。
例えば椅子の脚を考えた時に、それぞれの足が座っている人の荷重を床に伝える、ということは分かりますよね。
だけど、その脚が細くなるほど、また長くなるほどに、鉛直方向の荷重をそのまま伝えるのが難しくなってきます。
脚の長い椅子に大きく偏った荷重をかけたりすると、脚が長かったり細かったりする分、バランスは悪くなります。
片側に大きく体重をかけた場合などでは、椅子の脚1本に全荷重が乗ったりして…。
そうなると、上手く鉛直方向に力が伝わらずに、最悪の場合は脚が折れることも考えられます。
そうならないように、椅子の脚同士をつなげてしまい、出来るだけ満遍なく荷重が伝わるようにするんです。
椅子と建物では考え方が少し違うかも知れませんが、地中梁というのは椅子の脚と脚をつなぐ部材と似たような役目をもつ。
そう考えると、少し分かりやすいと思います。
先ほどの話を建物に置き換えると…
そのまま柱の下にある基礎だけに力を伝えるのでは、全体に満遍なくという訳にはいきません。
だから、基礎と基礎を地中梁によってつなげ、建物の荷重を出来るだけバランス良く杭に伝える。
それが地中梁の役目、ということになります。
基礎と基礎をつなぐ訳ですから、構造図によっては「地中梁」ではなく「つなぎ梁」と書かれている場合もあります。
表現としては「つなぎ梁」の方が分かりやすいかも知れませんが、この際ですからどちらも覚えてしまいましょう。
呼び方が違うだけで、構造体として果たす役割は同じですから。